未経験からITエンジニアになるには資格を取った方がいいの?
DX化の流れの中でまだまだ人手不足だと言われている昨今のIT業界ですが、未経験者が安易と転職できるほど現実は甘くはありません。
そんな中で、未経験からITエンジニアになるためにはIT系の資格を取得した方が良いと考える方は多いのではないでしょうか。
この問題について僕は以前に別のブログ記事で、ITエンジニアには資格試験の勉強以上にやるべきことがたくさんあると書きました。
実際にXなどのSNSやネット界隈でも
ITエンジニアになるには、あえて資格を取る必要はないんじゃないか?
という声もちらほらと散見されました。
しかし、未経験からITエンジニアを目指す場合は、知らない用語や概念が多かったり最低限のインプットをしたりしないと思うように学習が進められません。
これら最低限の知識を体系的に学ぶために、資格試験を利用するのも手段のひとつとしてはアリです。
この記事では、未経験からITエンジニアになるために資格を取得しようと考えた時、おすすめの資格や知っておきたいポイントについて解説します。
ぜひ、IT系の資格を取得しようと思う際の参考にしてください。
ITエンジニアになるためにどんな資格を取得すればいいのか、悩んでしまうことは少なくありません。
そんな時はJACリクルートメントなどの転職エージェントに相談するのも良いでしょう。
JACリクルートメントを使ってみた所感や評価について詳しく知りたい方はこちらをご確認ください。
未経験者におすすめのIT系資格3選
まずは、未経験からITエンジニアになるために取っておいた方がいい資格について、僕がおすすめしたいものをいくつかご紹介します。
僕が、未経験者がITエンジニアを目指す上で取っておきたいおすすめの資格は以下の3つです。
それぞれの資格試験の概要を説明するとともに、資格を取る上で気をつけなければならないポイントに一緒に見ていきましょう。
IT系の資格って結構多いからどれを取得すればいいのか迷っていたので、早速参考にしてみようかな。
ITパスポート試験
まずはITに関する基礎知識を証明する国家資格、ITパスポート試験について概要をまとめました。
試験概要 | 内容詳細 |
試験時間 | 120分(特別措置対象の方は180分) |
合格率 | 約50%(直近数年の平均値) |
勉強時間の目安(難易度) | 初学者:100〜180時間程度 |
出題数 | 小問:100問 |
出題形式 | 四択問題形式(特別措置の場合は筆記) |
受験方式 | CBT方式(コンピュータでの受験) |
受験費用 | 7,500円(税込) |
受験場所 | 全国(試験会場) |
開催時期 | 通年 |
公式サイト | 【ITパスポート試験】情報処理推進機構 |
ITパスポート試験はそのタイトル通りIT未経験者の登竜門的な資格であり、ITエンジニアを目指している人にとってはおそらく対策なしでも問題なく取れるでしょう。
大学1年生から2年生あたりで、将来ITエンジニアを目指したい人におすすめの国家資格です。
非IT系の職種の方であれば問題ないのですが、個人的には履歴書や職務経歴書には書かない方が良いレベルの基礎知識を証明するものです。
国家資格でもITに関する基礎知識を証明するものだから、ITエンジニアになるための資格取得としてアピールするには弱いってことね。
基本的にはITパスポート試験は飛ばして、基本情報技術者試験の勉強から始めることをおすすめします。
基本情報技術者試験
続いては、ITに関する基礎的な知識や技能を評価する国家資格試験である、基本情報技術者試験について概要をまとめました。
試験概要 | 内容詳細 |
試験時間 | 科目A:90分 科目B:100分 |
合格率 | 約47%(2023年) |
勉強時間の目安(難易度) | 初学者:200時間程度 |
出題数 | 科目A:60問 科目B:20問 |
出題形式 | 科目A:多肢選択式(四択問題形式) 科目B:多肢選択式 |
受験方式 | CBT方式(コンピュータでの受験) |
受験費用 | 7,500円(税込) |
受験場所 | 全国(試験会場) |
開催時期 | 通年 |
公式サイト | 基本情報技術者試験 |
基本情報技術者試験はITの基礎知識を幅広く網羅した内容となっており、プログラミングやアルゴリズムの知識も併せて必要とされるものです。
以前は新卒でIT系の仕事に就くと3年以内くらいに取得が奨励されていた資格でしたが、現在では高校生でも取得している人は少なくありません。
近年では、旧試験の形式から問題数や試験時間などが変更されたことによって、試験時間が従来の30〜40%ほど短縮されました。
ITに関するリテラシーを広く浅く学ぶことができるので
- ITエンジニアを目指す人
- IT業界に就職したい人
- IT関連の仕事を始めたばかりの人
- ITの基礎知識を広く学びたい人
など、IT業界でのキャリアを築きたい人やITスキルを向上させたい人にとって有益となるでしょう。
基本情報技術者試験はパスポート試験よりも高度な内容(ITSSレベル2相当)で、ITエンジニアとしての知識と技能を評価する試験なんだな。
ウェブ解析士認定試験
こちらでは少し視点を変えて、デジタルマーケティングの重要性が大きくなっていく中で幅広い人々にとって有益な資格である、Web解析士試験について概要をまとめました。
試験概要 | 内容詳細 |
試験時間 | 90分 |
合格率 | 約88%(2024年) |
勉強時間の目安(難易度) | 初学者:40〜60時間程度 |
出題数 | 小問:50問 |
出題形式 | 四択問題形式 |
受験方式 | IBT方式(コンピュータでの受験) |
受験費用 | 17,600円(税込) |
受験場所 | 全国(インターネット環境があれば受験可能) |
開催時期 | 通年 |
公式サイト | ウェブ解析士認定試験 |
ウェブ解析士認定試験は、デジタルマーケティング寄りの資格で、Googleアナリティクスなどアクセス解析をはじめ、デジタルコンテンツを運用する上で必要なさまざまな知見を学ぶことができるものです。
昨今のITエンジニアはWebアプリケーションの開発や運用に関わることが多く、それらのサービスは運用していく上で必ずWebアクセス解析と関わります。
2022年度以前の合格率は平均して55%くらいでしたが、2023年度以降のカリキュラムの改訂によって合格率が大幅に高くなっています。
カリキュラム改訂後に合格率が上がったのは、Googleアナリティクスを使った終了レポートの提出が廃止になったことが大きいのかな・・
必須とは言わないですが、ITエンジニアになるために学習しておくといろいろと役立つ資格だと言えるでしょう。
未経験者がIT系の資格を取るメリット
今まで未経験がITエンジニアになるために取った方が良いおすすめのIT系資格について紹介しましたが、こちらでは未経験者がIT系資格を取るメリットについてまとめました。
各メリットの詳細についてそれぞれ見ていきましょう。
知識やスキルを体系的に学べる
IT業界への第一歩として資格取得は非常に効果的な手段で、資格試験の出題範囲に沿って学習することで必要な知識やスキルを漏れなく習得できます。
特に初心者の方はどこから手をつければよいか迷うことが多いかと思うのですが、資格試験の学習範囲が明確に定められているので効率的に学習を進めることができるとも言えるでしょう。
たとえばCCNAの場合、ネットワークの基礎知識から最新のプログラマビリティまで順を追って学習できる構成になっています。
チーム開発が主流になっているIT業界では、このような体系的な知識を持っていることでより周囲との円滑なコミュニケーションが可能となるでしょう。
つい学びたい技術の周辺だけを学びがちだけど、資格勉強をすることで体系的に学習できるというメリットもあるよな。
より熱意が伝わる
未経験からIT業界への転職を考える際に資格保有はアピールポイントとなり、履歴書に記載できる資格はあなたの学習意欲と向上心を示す重要な証明となるでしょう。
採用担当者は、入社後すぐに離職してしまう人材ではないかと警戒しているものです。
しかし、あなたが資格取得のために時間と労力を投資したという事実は、仕事に対する真摯な姿勢を示すことができます。
また、基礎的な知識とスキルが備わっていることで、将来的な実務を通じた成長に対しても期待をさせることができるでしょう。
僕自身も採用官をした経験があるので分かりますが、シンプルにうちの会社に入りたい、この仕事をしたいという熱意は心を打ちますね。
実務にスムーズに対応できる
資格試験の学習を通じて業務で使用する製品やサービスの知識も身に付けることができますし、具体的な仕事の進め方についても理解が深まるため実務への移行がスムーズになります。
たとえ業界未経験者でも、基本的な専門用語や概念を理解していることでチームメンバーとのコミュニケーションがとりやすくなります。
その結果、新人特有の不安やストレスを軽減することができて仕事により集中できる環境が整うでしょう。
俺も仕事に慣れるまでのあの時期がもどかしいしシンドイから、そのストレスが少しでも軽減されるのは有り難いな。
資格手当で収入アップも期待できる
資格保有者への手当制度を設けているIT企業は年々増えており、特に国家資格である情報処理技術者試験は手当の対象になることは多いです。
たとえば
- ITパスポート:月額5,000円程度
- 基本情報技術者試験:月額1万円程度
などの手当が支給される企業が一般的になっています。
さらに上位の資格になると、月額2万円以上の手当を支給する企業もあるため収入アップの観点からも資格取得は有効な選択肢となるでしょう。
また、入社後に資格を取得した場合は、一時金として報奨金が支給される制度を持つ企業も少なくありません。
資格を取得することで知識やスキルもアップして収入も増えるなら一石二鳥とも言えますね。
資格試験の学習で気をつけること
IT業界に限らず、多くの人が何らかの資格試験に挑戦したことがあるのではないでしょうか。
その際にいろいろな勉強法を試していると思いますが、今回取り上げた資格試験について勉強する上で僕の実体験から意識した方が良いと思う点をいくつかまとめました。
特にIT系の資格試験の学習をする上での参考になれば嬉しいです。各ポイントの詳細を一緒に見ていきましょう。
暗記に走らない
IT関連の資格は基本的には独占業務がないので、履歴書に書けるメリットはありますが取得しただけですと役に立たないことが多いです。
多少の暗記は致し方ないのですが、できる限り理解することを重視してどうしてもそれが難しいならば一旦は暗記してその後に実務の中で理解するのが良いでしょう。
僕は基本情報技術者を取得した時にあまりにも暗記に走りすぎて内容を理解しておらず、実務に入ってからかなり苦労した経験があります。
特にデータベースやアルゴリズム、ネットワーク周りの分野については、資格試験用のテキストや問題集だけでなく、その分野を取り扱っている技術書などを参考に、深い理解をした方が学んだ知識を活かせるでしょう。
なるべく手を動かす
手を動かして覚えた方がいいところは、なるべく手を動かして身に付けた方が良いでしょう。
たとえば実際に
- アルゴリズムの問題であればPythonでロジックを実装してみたり
- データベース周りであればローカルにDBのインスタンスを立てて、SELECT, INSERT, DELETEあたりを実行してみたり
するなどを試してみるのもおすすめです。
すぐに上手くできなくてもその過程を技術ブログに書いておけば、見返すことができたり他の人の役にも立ったりといいこと尽くしだ。
技術ブログを書くほかのメリットや具体的な始め方についてもっと詳しく知りたい方は、こちらの記事を参考にしてください。
理解を深める上で生成AIを活用する
生成AIの活用については問題を解くために使っては意味がないのですが、問題や用語の理解を深めるために活用するのは良い方法です。
昨今ではいろいろな生成AIサービスが存在していて
など、これらのサービスを使うとかなり正確なコードの生成もできます。
はじめは簡単な問題や用語理解に利用するところからで良いので、これらのサービスをどんどん使い倒して覚えていくのがおすすめです。
インプットだけではなく、実際に行動(アウトプット)することで知識はより定着するから効率的な方法だな。
まとめ|資格自体はあまり評価されない
今まで未経験からITエンジニアになるためにIT系資格を取得するメリットや注意点について解説してきましたが、実際採用時にはどのように評価されるのでしょうか。
結局のところ、IT系の資格については持っているだけで評価されることはあまり多くありません。
AWS認定○冠やGoogle Cloud認定△冠などはネタにはなりますが、それで実力を証明できるわけではない点に注意が必要です。
基本情報技術者を取得するとついつい上位の資格(応用情報技術者、高度情報試験)に挑戦したくなるかもしれませんが、あまりおすすめできません。
現場でITエンジニアの採用面接を担当した経験を思い返しても、上位資格を取ったことだけで評価されることは少ないです。
資格を取るとつい上位資格も取りたくなる傾向があるから、なぜ資格を取るのかという本来の目的を見失わないようにしないとな!
今回挙げた資格試験についてはあくまで最低限の基礎固めの一環です。
ITエンジニアとしては資格試験に学習時間を使うくらいなら、実務レベルの技術スキルを身につけることに時間を使った方が圧倒的にパフォーマンスが上がるでしょう。
とはいえ、未経験から転職活動をするなら強みになる
IT業界への転職において、資格だけで評価されることは少ないものの未経験者にとっては貴重なアピールポイントとなるでしょう。
それは、資格保有は応募者のIT分野への関心の高さと基本的な知識レベルを証明できるためです。
企業側から見ると未経験者の採用には常にリスクが伴いますが、IT資格を持っている応募者であれば一定水準の知識や学習能力が担保されているので採用後のミスマッチを防ぐ効果が期待できます。
また、業界の専門用語を理解してITエンジニアとの基本的なコミュニケーションが取れる人材として評価されやすいでしょう。
資格を取るに越したことはないけれど、そこに固執しすぎずに実務の経験を積むのが大事ってことかな・・
未経験からITエンジニアになるために、資格を取得したり実績を積んだりと何から始めたら良いのかわからない方も少なくありません。
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