ITエンジニアになるには情報システム部門に入る方法もあるらしいね。
昨今の物価高や実質的に手取りがどんどん減っている厳しい現状で、稼げる職種としてITエンジニアになりたい人が年々増加しています。
しかし、未経験からITエンジニアになるハードルがとても高いことには過去の記事でも触れてきました。
IT系の仕事の中にはプログラミングをガッツリ行わない
- プロジェクトマネージャー
- テストエンジニア
- インフラエンジニア
などのようなITエンジニアの職種も少なくありません。
この記事では、その中でも情報システム部門に入るという方法で未経験からITエンジニアになるために知っておくべき情報について解説します。
ぜひ、未経験からITエンジニアになりたいと考えている方は、転職する際の戦略のひとつとして参考にしてくださいね。
特に未経験からITエンジニアになるためには、何も考えずに動くのではなく事前準備をしっかりと行って計画的に進めていくことが重要です。
転職活動は自己分析や企業研究など、ひとりで考えて悩んでしまうことは少なくありません。
そんな時はJACリクルートメントなどの転職エージェントを利用するのがおすすめです。
JACリクルートメントを使ってみた所感や評価について詳しく知りたい方はこちらをご確認ください。
情報システム部門とはどのような部署か
そもそも情報システム部門ってどんなところなの?
ある程度の規模の会社組織には情報システム部門があり、情報システム部門という名前ではなく総務や経営戦略と一緒になっている場合もあります。
情報システム部門は、一般的に組織に関するIT全般の管理を行うことが仕事です。
未経験からITエンジニアになりたいと考えている方の中には、おそらく
- 待遇面
- 手に職をつける
といった理由からITエンジニアを目指す方が多いのではないでしょうか。
情報システム部門の待遇面
情報システム部門の平均年収は469万円くらいだとされています。
求人ボックスの給料ナビによりますと、2024年10月時点では情報システム部門(社内SE)の平均年収は約469万円で月ベースに換算するとおよそ39万円です。
国税庁の令和5年度 民間給与実態調査を見てみますと、日本人全体の平均年収はおよそ460万円なので、情報システム部門の平均年収は全体と比べるとやや高い傾向にあります。
上記数値からも分かりますが、僕の経験から言っても情報システム部門の待遇面については正直そこまで良いとは言えないですね。
しかし、手に職を付けるといった観点で考えると、情報システム部門での仕事も経験やスキルアップに向くのではないかと思います。
情報システム部門の業務内容
では実際に、情報システム部門が具体的にどのようなことをやっているのかを見ていきましょう。
情報システム部門の詳細な仕事内容については以下の通りです。
情報システム部門は、企業のITインフラを支える重要な存在として以下のような役割を担っています。
- 基幹システムの運用・管理
- 会計、人事、在庫管理などの基幹業務システムの安定稼働を確保
- システムの保守・メンテナンス、アップデートの実施
- システムトラブルへの対応とダウンタイムの最小化
- セキュリティ管理
- 情報セキュリティポリシーの策定と実施
- セキュリティ対策の実装(アンチウイルス、ファイアウォールなど)
- セキュリティインシデントへの対応
- 新規システム導入・開発
- 業務効率化に向けた新システムの検討・導入
- 既存システムの改善・刷新の企画
- ベンダー選定や開発プロジェクトの管理
- ユーザーサポート
- 社内システムの利用に関する問い合わせ対応
- 新入社員向けのIT研修の実施
- マニュアルやガイドラインの整備
さらに、近年はこれらの従来型の役割に加えて下記のような役割も期待されています。
- デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進
- 全社的なデジタル化戦略の立案
- 新技術導入による業務革新の推進
- デジタルスキル向上に向けた人材育成
- データ活用の促進
- データ分析基盤の整備
- 部門横断的なデータ活用の支援
- データドリブン経営の実現支援
プログラミングこそやらないけれど、体系的な技術知識がないと仕事ができないし業務も多岐に渡るから勉強することが多そうだな・・
特に近年ではDX化の推進で人手が常に足りない状況なので、この辺りの知識は今後さらに重要となってくるでしょうね。
情報システム部門の仕事は開発ではない
一般的には、情報システム部門にはITエンジニアが所属しているわけではありません。
先述した通り、組織としていかにITを活用して事業を拡大していくか、また業務効率を進めていくかを考えてそれを実現していくことを役割としている部署になります。
そのため、特定のサービスやプロダクト開発をメインとした仕事を行うことはあまりなく、組織によっては情報システム部門内で開発をするケースもまれにあります。
とは言いつつも、情報システム部門だからこそ身につけられる経験やスキルがあるのもまた事実です。
具体的にはどんな経験やスキルを得られるんだろう?
次からは、情報システム部門にいることで得られるメリットや、その反対にであるデメリットについて詳細を見ていきましょう。
情報システム部門に所属するメリット
まずは、情報システム部門に所属をするメリットについてまとめました。
ユーザー部門とITベンダー両方の視点を知ることができる
基本的には情報システム部門が現場(ユーザー部門)の業務要件をもとに、どのようなシステムが必要となるかをまとめて外部のITベンダーと一緒にシステムを作っていくカタチです。
ITベンダー自体はシステム開発においてはプロフェッショナルなのですが、当然システムに求められる要件は組織や業務によって異なります。
そのため、発注者側の情報システム部門がユーザー部門にヒアリングを行って必要とされる要件を整理します。
そのため、ITエンジニア側の知識だけではなく、現場での業務についての知識もそれなりに理解していないとプロジェクトが進まないため現場の業務についても学ぶことが必要です。
ユーザー部門の立場でもモノを考えていくようになるので、自然に業務についても詳しくなるのは必然ですね。
サービスやプロダクト製作で必要な工数や費用の感覚が得られる
外部のITベンダーに何かの製作を頼む場合は、まず見積もりを出してもらうことになります。
組織としてはもちろん予算があるので、情報システム部門側でも実際にシステムの開発や運用をしていく上でどの程度のお金がかかるのかについては理解しておかなければなりません。
これだけの工数だといくらくらいかかるのかという費用の感覚は、ただ黙々と作業だけをしているとなかなか培えないものだよね・・
残業が少ない傾向である
また、業務内容としてある程度期間が読めるものが多いので、トラブルが起きた時以外は比較的残業が少ない傾向にあるのも特徴です。
それは、自社の社員(他部署)がクライアントであることが多いので、納期に融通が利きやすいためです。
加えて、大規模なシステムを開発する場合は開発作業を外部のITベンダーに依頼するケースが多いので、情報システム部門には残業が発生しにくいという側面もあります。
残業が少ない環境なら働きやすそうだね。
上記メリットがある一方で、情報システム部門に所属をすることによるデメリットも存在します。
次では、そちらについて詳細を見ていきましょう。
情報システム部門に所属するデメリット
こちらでは、情報システム部門に所属をするデメリットについて書き出してみました。
開発するエンジニアより給料が上がらない
情報システム部門は手を動かして開発するエンジニアではないため、そこと比べると給料が高くなる幅はあまり大きくはありません。
- システム開発・運用
- 20代:386万円 → 50代以上:636万円
- 研究開発
- 20代:456万円 → 50代以上:847万円
- 社内SE (情報システム部門)
- 20代:375万円 → 50代以上:607万円
50代以上の平均年収を見た時に、開発を行うエンジニアに比べるとあまり上がっていないことがわかります。
たしかに専門的な技術スキルがないから仕方ない部分もあるよな。
まずは情報システム部門に入って、そこから実務経験を積んだり自ら勉強をしたりして職種を変えていくものアリですね。
ユーザー部門とベンダー会社の板挟みになりがち
会社組織内に開発部門がない場合、基本的には外部のITベンダーにいろいろと作業を依頼することになります。
組織によってはユーザー部門の無理難題を聞きつつ、それを実際に外部のITベンダーにどこまでお願いしてどこまで予算内でやってもらえるか調整することが少なくありません。
相手の要望を汲みつつも双方の落とし所を見つけて納得してもらうための交渉力は一長一短では身に付かないので、意識的に取り組む必要があります。
予算という決めがあるので、お互いの話を聞きながら痛み分けで相手に納得してもらう必要がある。経験を重ねて身に付けるしかないよね。
手を動かす機会があまりない
立場上、情報システム部門は手を動かす仕事があまりありません。
そのため、開発をするエンジニアの感覚で情報システム部門に入ると、自分でできることをわざわざ外部のITベンダーに頼むことになるのでストレスがたまることもあります。
いっそのこと自分でやった方が早い、だけど外部のITベンダーに振らないといけない、あのもどかしさはよくあるよなぁ・・
手を動かす機会を作りたいのであれば、空き時間で個人開発をやってみるのも一考です。詳細を知りたい方はこちらをご覧ください。
情報システム部門に異動や転職する上で必要なこと
僕は情報システム部門への異動や転職することをおすすめしますが、とは言っても情報システム部門への転職や異動はやはり簡単ではありません。
今まで他業種で仕事をしてきた方が情報システム部門で採用されるためには、ITリテラシーはもちろん、担当するシステムについて業務側の知識が求められます。
こちらでは社内での異動と転職のケース別に詳細を解説します。
社内での異動の場合
どちらかというと、現職での異動の方がハードルが低いです。
その場合は
- 普段の業務で情報システム部門の人と積極的にコミュニケーションを取ったり
- 自分の部署で何らかのサービスを導入する際にユーザー側の要件整理に積極的に関わったり
などすると、情報システム部門側から声をかけてもらえる可能性があるでしょう。
また、必要となるスキルとしてはプログラミングなどの技術的なものよりも
- ユーザー部門の業務要件を理解してドキュメントに落とし込める能力
- サービスを導入する際にどこまでが標準機能で実装できてどこからがアドオン開発が必要か
- 運用でどのようにカバーすることができるか
- オペレーションをまとめて実際に現場に周知するなどの取りまとめをスムーズにできるか
- そのために必要となるコミュニケーション力があるか
などといった能力です。
結構求められる能力って多いのね・・
一見すると難しく感じるかもしれませんが、未経験からITエンジニアとして転職するのに比べたらかなり難易度は低いでしょう。
なぜなら、一般的な事業会社のユーザー部門はそもそもITに対して拒否反応を持っている人が多いです。
そのため、普段から自身で触れているサービスでさえあまり理解しようとしないで、自分の業務に手がいっぱいになってしまう傾向があるからです。
社内での異動で未経験からITエンジニアになるコツ
- どのように自分が所属する部門の業務を効率化させるか
- 客観的な視点を持ちつつ、情報システム側の提案の中で妥協案を見つけて
- 丸投げをするのではなく自身から積極的に業務改善のためにできることを前向きに考えながら
- 他部門と一緒に仕事をしていく姿勢を見せていく
このようなことをひた向きに進めていくことが重要でしょう。
現職で実績を残すことで、社内異動をしてITエンジニアになる戦略は比較的実践しやすいです。事例の詳細を知りたい場合は下記をご覧ください。
転職の場合
転職する場合は、必ずしも情報システム部門に所属をしていたり同じ職種であったりする必要はありません。
僕も別の職種・部署から情報システム部門に転職した経験があります。
しかし、その場合は
- 現職の中でユーザー部門とIT両方に関わったり
- 複数部署を跨いだプロジェクトの中でリーダー的なポジションを担当したり
- そこで何かしらの成果を出したりしているか
などといったことが求められます。
情報システム部門の仕事にはもちろん最低限のITリテラシーは求められますが、実際に組織によって必要とされるものはさまざまです。
基本情報技術者レベルくらいの知識があれば良いって聞くな。
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転職活動は自己分析や企業研究など、ひとりで考えて悩んでしまうことは少なくありません。
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まとめ|直接的な技術スキルはいらないがキャッチアップは必要
これまで、情報システム部門がどのような部署なのかや情報システム部門に所属するメリット・デメリット、また実際に異動や転職をする上で必要なことについて解説しました。
情報システム部門はあくまでも全体的なシステムの管理者的な側面が強いため、一般的にはそこまで技術的なものを求められることは多くありません。
しかし、それなりに技術面でのキャッチアップを常にやっておかなければ、外部のITベンダーをうまくコントロールできないことがしばしばです。
僕自身も情報システム部門で働いていた時に、あまり理解せずに(準備不足な状態で)人事給与システムのリプレイスを外部のITベンダーと一緒に進めていたのですが
自分の知識や理解不足のせいで、リリース後にシステムが大炎上してかなり悲惨な目にあったことがあります。あの時は焦りました・・
昔の僕のようにならないためにも、IT周りの勉強はもちろん、関係する業務についての理解も深めていく必要があります。
関連する業務の知識やトレンドなどIT業界は技術革新が目覚ましく、つい先日まで主流だった技術やスキルが数か月で新しいトレンドに取って代わるのは決して珍しいことではありません。
そのためには積極的に情報をキャッチアップする必要があるのですが、情報媒体によって鮮度や正確性に違いがあることを意識することが必要です。
情報媒体ごとの特性や最新情報にアクセスする際のコツ、精査されていない情報を扱う際の注意点などをもっと詳しく知りたい場合はこちらの記事をご覧ください。