ITエンジニアになるために現職でできることって何だろう?
現職で何かできることがあるならそれに越したことはない、そう感じている方は多いのではないでしょうか。
未経験からITエンジニアになる方法として別記事で自社のIT関連部門に異動するなどの方法を書きましたが、そう上手く進まないのが実情です。
部署異動ができるのはある程度の規模があったりいろんな意味で余裕がある会社でないと難しいという側面がありますからね。
異動が難しいなら、現在いる場所でいかに次につながる経験を自ら考えて実行できるかが重要となるでしょう。
多くの人が日々何らかの業務アプリケーションやSaaSサービスなどを利用して業務を行っています。
そこで僕がおすすめしたいのが、身の回りの業務改善や自動化から始めることです!
日々利用する業務アプリケーションやツールを使った業務改善・自動化などを通じて、少しずつITリテラシーや開発経験を積むことができます。
この記事では、身の回りの業務改善や自動化することの概要やどういった業務が対象となるのか、また基本的な流れや僕が実際に行った内容などについて解説します。
ぜひ、未経験からITエンジニアになるためのスキルアップ方法として参考にしてください。
業務改善・自動化の方法について
まずは業務改善・自動化できる方法の概要について見ていきましょう。
RPA(Robotic Process Automation) | マクロ | AI | |
おもな特徴 | 作成したルールに沿って業務を進める | OfficeソフトにあるVBAを用いて自動化をする | 蓄積されたデータを分析して未来予測をする |
範囲 | いろんなアプリケーションで可能 | Officeソフト中でのみ | RPAよりは限られる |
適した業務 | PCでの定型業務やアプリケーションを跨ぐ作業 | ExcelなどOfficeソフト中での定型作業 | 煩雑なデータ分析が必要とされる作業 |
RPA(Robotic Process Automation)
RPAはパソコン上の定型業務を自動化するためのツールで、人間が事前に設定した手順に従って正確かつミスなく作業を実行できる仕組みです。
おもにフロントオフィスやバックオフィスの定型作業に適しており、データ収集や情報転送などの反復的な業務を効率的に処理できます。
たとえば、インターネット上の情報収集や特定顧客への自動情報送信など人手をかけずに処理できたり、データ連携も可能で複数のツール間での情報共有を円滑にしたりします。
ただし、学習能力がないので、柔軟な対応が必要な業務や複雑な判断を要する作業には向いていません。
毎朝納品確認メールを該当する会社に送信するので、管理業を見てメール送信を自動化できれば業務効率は上がりそうだ・・
マクロ
マクロはおもにMicrosoft Officeの製品で利用できる自動化機能で、特にExcelでの作業を大幅に効率化できる便利なツールです。
VBAというプログラミング言語を使用することで、複雑な作業手順を自動化したりデータ集計を簡単に行ったりできます。
また、初心者でも簡単に使える「マクロ機能」も用意されており、プログラミングの知識がなくても基本的な自動化が可能で請求書作成やデータチェックなどの定型業務を劇的に短縮できます。
ただし、Office製品以外のツールとの連携は難しく利用範囲に制限があるのが特徴です。
社内にVBAに詳しい人材がいる場合にもっとも効果的に活用できるでしょう。
ただしこちらも学習能力がないので、柔軟な対応が必要な業務や複雑な判断を要する作業には向いていません。
見積書や発注書の作成ほかExcelでの定型作業は多い。会社でVBAに詳しい人がいるから、コピーをローカルに落として勉強してみようかな。
AI
人工知能(AI)はデータに基づいて自ら判断し学習できる最先端の技術で、RPAとは異なり蓄積されたデータを分析して次の行動を自律的に決定できる特徴があります。
インターネットの予測変換や買い物サイトのおすすめ機能、画像認識などさまざまな場面で活用されており身近に感じられるものです。
また、ビジネスにおいては人材不足の分野や将来の需要予測など、多様な場面での活用が期待されています。
ただし、高度な開発難易度や膨大なデータ量の確保が課題で、たとえば画像認識の場合ですと45万件もの学習用データが必要になることもあります。
導入には慎重な姿勢が求められますが、適切に活用すれば業務の革新的な改善につながる可能性を秘めており伸び代の多いものでしょう。
ひと昔前まではわからないことはGoogle検索していたけど、今はPerplexity.AIなどで音声検索した方が早いもんなぁ・・
業務改善・自動化のおもな方法がわかったところで、次では具体的にどういった作業が自動化しやすいのかを見ていきましょう。
業務改善・自動化できる作業を探そう!
業務改善・自動化の第一歩としては、日々の業務の中で改善できそうなオペレーションを探してみることです。
たとえば
- Excelやスプレッドシートへの単調なデータ入力作業
- 日次、週次、月次など定期的に発生するデータ抽出、集計作業
- 会計システム、人事システムなどのマスター更新作業
などが挙げられます。
上記以外でも、利用しているSaaS間でのデータ連携や通知出力なども比較的簡単に実現できるでしょう。
このような業務は、自動化による業務改善のための格好の練習材料になります。
同じPCでの作業でも業務改善・自動化しやすいもの、その反対にしにくいものっていうのはあるのかな?
次では具体的に業務改善・自動化をしやすいもの、反対にしにくいものについて見ていきましょう。
定型業務は自動化しやすい
業務改善・自動化しやすいものとしては、伝票入力や請求書発行、顧客対応、経費処理などの定型業務が最適とされています。
それは、定型業務は明確なルールがあり誰が行っても同じ結果が得られる作業なので、自動化ツールによって大幅な生産性向上が可能となるためです。
また、複数のシステムにまたがる大量データの処理や定期的に発生する反復作業において、自動化ツールは特に威力を発揮します。
それによって私たちは単純作業から解放され、より付加価値の高い戦略的業務に人的リソースを集中できます。
毎日各案件の進捗管理をやっているけど定型業務は結構ある。RPAやマクロを使って自動化できることは結構ありそうだな。
感性が求められる作業は不向き
その一方で、0→1を生み出す作業や感性が求められる業務は自動化するのが難しいです。
デザインやコピーライティングなどのクリエイティブな作業は、ゼロから新しいアイデアを生み出すクリエイティブな力が求められるので今の技術では完全な自動化は難しいでしょう。
特にマネジメントは、数値では測れない人間関係の微妙なニュアンスや感情的な側面を理解する能力が欠かせません。
また、起業やサービス企画といった戦略的な業務も同様に、ビジネスセンスや交渉力といった高度なスキルが求められるので人工知能では代替できません。
これは言い換えれば、AIの進化によって人間にしかできない創造的思考の重要性がさらに高まっていることを指しています。
これからはAIが苦手なところを強化して勝負していかないと、真っ向勝負ではさすがに太刀打ちができないからな。
業務改善・自動化に向いている業務、そうでない業務がわかったところで、次は対象の作業をどのように自動化するのかを考えていきましょう。
データ入力作業など自動化の基本的な流れ
Excelやスプレッドシートなどのデータ入力作業について、一般的な流れは以下の通りです。
- 現在の作業内容の詳細な把握
入力するデータの種類、形式、頻度
データの入力元(手入力、他のファイル、Webサイトなど)
入力先のファイル構造やフォーマット
- 例外パターンの洗い出し
特殊なデータ形式の有無
エラー発生時の対応方法
- 自動化による効果の検討
作業時間の削減見込み
ミス削減効果
コスト対効果
- 適切なツールの選定
Excel VBA:Excelファイル内での処理に強い
Google Apps Script:Google Workspace内の連携に強い
Python:外部データ取り込みや高度な処理に強い
- 開発環境の準備
- 処理の設計
データの取得方法
データの加工・変換ロジック
エラー処理
ログ記録
- テスト環境での動作確認
- 本番環境での試験運用
- 実行手順書の作成
- エラー発生時の対応手順の整備
- 定期的なメンテナンス計画の策定
要件をまとめてツールを選択、実装、そして運用後の検証など個人開発をする際のフローと似ているね。
ちなみに、個人開発ののポイントやメリットについて詳細を知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
また、具体的な業務改善・自動化の方法はデータの形式や業務の特性によって異なります。
定期的に発生するデータ抽出や集計作業の自動化する際の一例を一緒に見ていきましょう。
【一例】定期的に発生するデータ抽出や集計作業の業務自動化
- データ抽出元の詳細把握
- アプリケーションの種類とアクセス方法
- 利用可能なAPI/インターフェースの確認
- データ形式とサイズの確認
- 集計要件の整理
- 必要な集計項目と計算ロジック
- 出力フォーマットの定義
- 集計期間や実行タイミング
- セキュリティ要件の確認
- アクセス権限の確認
- データ保護要件の把握
- システム構成の検討
- 使用するプログラミング言語やツールの選定
- 実行環境の決定(サーバー、ローカルPCなど)
- スケジューリング方法の検討
- 処理フローの設計
- データ抽出処理の設計
- データ変換・加工ロジックの設計
- エラー処理の設計
- 出力設計
- 集計結果の保存形式
- レポート形式の設計
- 開発環境の構築
- 各処理の実装
- データ抽出処理
- データクレンジング処理
- 集計処理
- レポート出力処理
- テスト実施
- 単体テスト
- 結合テスト
- 性能テスト
- 運用手順の整備
- 実行手順書の作成
- 監視方法の確立
- エラー発生時の対応手順
- メンテナンス計画の策定
- 定期的な動作確認方法
- バックアップ方針
- 更新手順
実例を当てはめていくと、たしかにわかりやすいな。。
業務改善・自動化を成功させるためのポイントや注意点
業務改善・自動化の基本的な流れがわかったところで、自動化を成功させるためのポイントや注意点についてもご紹介します。
- まずは小規模な範囲から始める
- テストデータで十分に検証する
- エラー処理を丁寧に実装する
- メンテナンス性を考慮したコード設計を心がける
- 手動での確認手順も残しておく
これらのポイントの中で僕が実際に業務改善・自動化をして感じたのは、手動での確認手順も残しておくことの大切さです。
作成したマクロなどのプログラムを使って実務を進めると、想定外の事象でプログラムが動かなくなることも少なくありません。
急ぎで対応する必要がある場合、手動での確認手順も残しておかないと業務に支障をきたす可能性があります。
急いで対処しないといけない時に限って、マクロが動かなかったりするんですごく焦る。エラー原因や確認手順を共有していないと怖いね。
- データの整合性チェックを組み込む
- 処理時間の最適化を考慮する
- 異常終了時の再実行手順を整備する
- 実行ログを適切に記録する
- バックアップと復旧手順を確立する
この中で特に気をつけていただきたいところとしては、バックアップと復旧手順の確立です。
問題が発生した際でもまずは円滑に業務を進めることが第一優先となるため、問題発生前までのバックアップが残っていることは非常に重要です。
バックアップを確保して復旧手順を事前に共有しておけば、不測の事態にも冷静に対応できますし事後の検証も滞りなく進めることができます。
まずはトラブルに冷静に対処する、検証はその後だからトラブル時の対応が利用するメンバー間で共有できていれば安心だよね。
ウリが過去にやった業務改善・自動化
僕が以前になった業務改善・自動化の一例についてご紹介をします。
ウリの実体験 〜業務改善・自動化してみた〜
当時情報システム部門の立場として、経理部門や人事部門が利用するための業務改善ツールをExcelのVBAで開発していました。
また、ERPのDB内のデータ周りの運用をスムーズに進めるためにSQLを覚えたり、外部ベンダーが運用していたワークフローサービス(JP1/AJS)を覚えたりしていたのが今では懐かしいです。
そうして自身のITリテラシーを高めることで、次の会社への転職もスムーズに行うことができました。
情報システム部門だからできたところもあるのですが、経理部門や人事部門でも業務効率化のためにプログラミングを覚えて大幅な業務改善を行った人を何人か知っています。
部門としてはWebアプリ開発をしていないのですが、業務自動化のために何らかのツールを作った経験があると、未経験でITエンジニアに転職するよりも評価されるケースが多いですね。
僕の経験上、特に年齢的に若くて上記のような経験があると、よりポテンシャルがあると判断してもらいやすいですね。
生成AIなどのサービスをうまく使おう
昨今ではChatGPTやClaude、Geminiなどの生成AIが当たり前のように使われています。
この記事で取り上げたような業務改善用のツールやマクロなどは以前だと開発するのに少し時間が掛かったのですが、これらサービスに作り方を聞くと一瞬で回答が返ってきます。
必ずしも一回で正確な回答が返ってくるわけではないですが、何回か繰り返しているとしっかりと動くものができるのでいろいろと使ってみて試してみましょう!
boltなどAIツールを使えばWebアプリも作成できる。カテゴリやタイトルを選ぶだけで自動で画像付きのブログ記事作成もできるかも・・
学習は実務と並行して進めると効率が良い
これまで述べてきたような業務改善・自動化対応と合わせて、DMM WEBCAMP
未経験でITエンジニアを目指す人は、この記事のように一旦は自身の業務に関連するところの業務改善・自動化の構築から始めることをおすすめします。
それによって、知識やスキルだけでなく転職時に実務経験として活かすことができるでしょう。
未経験からITエンジニアになるために学ぶべきことについてもっと詳しく知りたい方は、こちらも記事をご確認ください。
どちらかだけではなく、基礎学習をしながら業務改善・自動化などの実務を通して経験を積んでいくバランスよく進めるのが理想ですね。
まとめ|現職の業務改善・自動化を通してキャリアアップ!
これまで未経験からITエンジニアになるための方法として現職の業務改善・自動化すること、その概要や基本的な流れ、ポイントや注意点などについて解説しました。
業務改善・自動化する方法としては
などがあります。
それぞれにメリットやデメリット、適した業務があるので、各特性を活かして選ぶのがおすすめです。
また、業務改善・自動化に向いている業務は伝票入力や請求書発行などの定型業務で、反対に0→1を生み出すような感性が求められるような業務は向いていません。
業務改善・自動化におけるポイントとしては下記のような点です。
- まずは小規模な範囲から始める
- テストデータで十分に検証する
- エラー処理を丁寧に実装する
- メンテナンス性を考慮したコード設計を心がける
- 手動での確認手順も残しておく
特にエラーでプログラムが動かなくなった時のことを想定して、手動での確認手順も残して作業メンバーと共有しておきましょう。
また、業務改善・自動化における注意点としては、問題が発生した際でもまずは円滑に業務を進めることが第一優先となるため、問題発生前までのバックアップが残っていることは非常に重要です。
まずはトラブルを冷静に対処して、その後の検証に備えてトラブル時の対応についてはメンバー間で事前に共有ができていれば安心でしょう。
業務改善・自動化を進める過程でChatGPTやClaude、Geminiなどの生成AIを利用すると、今まで時間の掛かっていた内容も一瞬で回答をしてくれるので便利です。
DMM WEBCAMP