未経験からITエンジニアになるには、副業から始めた方がいいのかな?
そう考えてまずは、副業でプログラミングを始めてみるのですが、その結果・・
2年くらいかけてProgateを2~3周したけど、なかなか案件がとれない・・
みたいな人から相談を受けることがしばしばあります。
昨今、本業でITエンジニアをしているわけでもないのに、なぜか未経験から副業としてプログラミングで稼ごうとしている人が増えているようです。
XなどのSNSやさまざまなコミュニティで「案件はどこで獲得できるんですか?」といろいろな人に質問している方が散見されます。
IT界隈に長年身を置いている僕としては、なぜそんなことが起きているのか?と不思議ですね。
その理由を調べてみると、どうやらYouTubeなどで自称エンジニアの人たちが「プログラミングは稼げる!」などと言っているのを間に受けてしまった人たちが一定数いるんだなと感じました。
以上を踏まえて、この記事では会社員やフリーランスの話は含めずにあくまで副業としてプログラミングで稼げるか、また未経験者が副業でプログラミングをする際の注意点について解説します。
未経験から副業としてプログラミングで稼ぎたいと思っている方は、ぜひ参考にしてください。
結論、ある程度の実務経験がない人には厳しい
僕が、ITエンジニアではない未経験の方が副業としてプログラミングで稼ぐのは厳しい理由として
- 「プログラミング」のみで成り立つ副業はほぼ存在しない
- 実務経験がある人にしか案件が来ない
などが挙げられます。
1については多くの場合、ITエンジニア(というよりはそのプロジェクト)の仕事として、プログラミング(コーディング)のみの工程で切り分けられるものはほとんどありません。
もしくは仮にあったとしても、他の工程と関連することが多いため「プログラミング」という副業は基本的にはほぼ成り立たないのが一般的です。
もちろん、すでにある程度の経験者が開発案件を副業として受けることはよくある話です。
しかし、それは「プログラミング」という単位での副業ではなく、設計・開発・テストなど幅広く経験していることでようやくできることだったりします。
たしかにプログラミングと言っても、実際は設計からテストまで経験していないとできない案件っていうもの結構あるからな・・
2については上記1に含まれる内容ではありますが、副業でまかせる仕事の単位を切り分けて発注するのは企業側としても手間がかかる作業だということです。
また、一般的に副業としてITエンジニアに仕事をまかせる時には、時給単価で4,000円から10,000円くらいとかなり単価が高くなります。
そのため、確実にスキルのある人にお願いできる保証が必要となるので、組織である程度の実績もない人に副業として仕事をまかせることは基本的にはありえない話になります。
プログラミング未経験でも探せば案件は見つかるのですが、低単価で実績にもならないような業務内容のものがどうしても多くなりがちです。
このように、ITエンジニアではない未経験の方が副業としてプログラミングで稼ぐのは厳しいのですが、次では実際にプログラミング副業の実態について一緒に見ていきましょう。
プログラミング副業の実態とは?
プログラミングを副業として稼ぐ実態については、ざっと下記のような特徴にまとめられます。
プログラミング副業の月収は個人差がかなり大きい
プログラミングを副業として稼ぐ場合は収入額に大きな個人差があるので、ひとくくりに「月収○万円くらい」と言うのは難しいです。
その理由として、プログラミング副業の月収は月の稼働時間や案件の単価が個人によって大きく異なるからです。
たとえば、空き時間にコツコツと稼働ができたり高単価の案件が獲得できたりすれば、月5万円以上稼ぐことも夢物語ではありません。
しかしその反対に、週末だけなど稼働時間が少なかったりなかなか案件獲得ができないと、月1万円稼ぐことも難しい場合があります。
まずは、プログラミング副業で稼げる月収には個人差があることを知っておいてくださいね。
各案件の単価相場について
参考資料として、クラウドワークスが公表している発注(単価)相場の一例をご紹介します。
仕事内容 | 発注(単価)相場 |
システム管理・更新・保守 不動産業務システムのバグフィックス | 3,000円〜/時間 |
テスト・検証・デバッグ デバッグ(400項目・依頼者がテスト項目作成) | 20,000円~ |
Excel VBA・マクロ開発 既存Excelの処理自動化 | 25,000円〜 |
サーバーネットワーク構築・移行 サーバー移行(レンタルサーバーからAWS等クラウド移行費用は含まない) | 50,000円〜 |
WordPress制作 WordPressを使ったHPの作成(デザイン+コーディング) | 100,000円~ |
サイト構築・ウェブ構築 既存サイトへの単機能追加(PCのみ、スクラッチサイト) | 100,000円~ |
iPhone・iPadアプリ開発 レストランアプリの修正、機能追加 | 300,000円〜 |
なるほど。作業内容によって単価も大きく違うから、自分の稼働できる時間や案件獲得状況によって得られる収入も大きく変わりそうだ・・
プログラミング未経験者では高収入が得られない
また、プログラミング副業で未経験者では高収入を得られない理由として
- 難易度が低い案件は自ずと低単価
- 初心者向けの案件は競争率が高いので案件獲得が困難
- 未経験から始めるにはスキル習得に時間がかかる
などがあります。
2021年にデイトラが実施した「プログラミング副業」に関する実態調査によると、副業による平均月収について
- 1万円以上3万円未満:21.7%
- 5,000円未満:18.1%
- 1万円以上3万円未満:17.9%
- 5,000円以上1万円未満:14.6%
という結果となりました。
未経験者が受注できる案件はおもにコーディングで、単価としては時給換算で1,000円〜2,000円程度です。
仮に週に5時間働いた場合、1か月では2万円〜4万円程で多くても5万円なのでもっと稼ぎたい人にとっては物足りなく感じることでしょう。
また、そういった初心者向けの案件は競争率も高くなるので、自ずと案件獲得も容易にはいきません。
さらに未経験からの場合、スキル習得に時間がかかるという理由もあります。
2020年に侍エンジニア塾が実施した「エンジニアになるまでの1日の平均学習時間」によると
- 1日の平均学習時間:4時間24分
- 平均学習期間:17か月
など、それなりの時間を要することがわかりました。
それに加えて、IT業界のトレンドは日々変わっていくので、たとえ副業でも日々勉強をして知識をアップデートする必要も出てきます。
その結果、目標を達成できなかった時にモチベーションが下がってくる恐れがあります。
月10万円とか最初から高い金額に設定していると、達成できなかったときに諦めてしまいそうになる気持ち、すごくわかるわ・・
したがって、未経験の方はまずは月1万円など目標を低めに設定して達成したら次は月3万円と言ったように、少しずつ上げていくのが良いでしょう。
スタートからたくさん稼ぐことを目標とせずに、自分の技術やスキルを上げる目的で進めるのがおすすめです。
プログラミング副業の実態がわかったところで、なぜ今副業が話題になっているのか改めて考えてみました。
そもそも、なぜ副業が今話題なのか?
YouTubeなどのSNSでさまざまなインフルエンサーが「副業で稼ごう!」と言っており、その中でよく挙げられる副業としては
- せどり
- ブログ/アフィリエイト
- Webライター
- Web秘書
- プログラミング
といったものです。
副業がここまで一般化している背景としては
- 企業で働いていても十分に賃金が上がらない
- 残業代に頼ることもできない状況である
といったみなさんの苦しい経済状況が垣間見えてきます。
その結果、会社の給料とは別の収入源が必要という話になり、多くの人が副業をしているもしくは副業を探していると思われます。
本業の稼ぎにこれ以上期待はできない、とはいえ年齢的に今の条件より良い転職は難しいとなると副業という選択肢は出てくるよな・・
僕の経験で言うと、せどりやブログ、WebライターやWeb秘書については、基礎知識を身に付けるのにさほど時間がかからないので取り組みやすいです。
また、稼ぎ方や案件の取り方はシンプルでいろんなところで紹介されているので、案件を選ぶセンスは必要ですが比較的には取りやすい傾向があります。
しかし、これと同じ感覚でプログラミングを始めると大変なことになるので注意が必要です。
参入障壁高めの未経験からプログラミング副業
ほかの副業と同じ感覚で未経験からプログラミング副業で稼ごうと思うと、いくつか問題点があります。
まず、先述したようにスキルの習得に時間がかかることです。
次に、先述したように未経験で案件獲得をするのはなかなか難しい現状がある点です。
たとえ案件があったとしても、低単価だったり開発経験にならないような雑務になることも少なくありません。
ほかの副業と比べて、未経験から基礎知識を学んで案件を取ろうとした時スムーズに獲得できるイメージがあんまり湧かないんだよな・・
未経験から副業としてプログラミングで稼ぐ難しさを知ったところで、今度は目線を変えてITエンジニアで副業している人の実態を見ていきましょう。
ウリのまなざし 〜ITエンジニアは稼ぐために副業をしていない〜
実は本業でITエンジニアをしている人で副業として何らかの開発案件をしている場合、それをやっている理由がお金だという人はそこまで多くありません。
少なくとも、僕のまわりで副業で開発をしている人が結構いますが「お金が欲しいから」という理由でやっている人は、もちろんゼロではないですがあまりいないです。
僕の肌感覚として、副業でITエンジニアの仕事をしている人の多くは
【スタートアップ企業がまだ十分なエンジニアを集められていない時に、身の回りでつながりのある人に手伝ってもらう】みたいな感じで副業エンジニアを探して、声を掛けられた人は
『まあ、現職と違うことに挑戦できるのは楽しそうだから、少しやってみようかな』くらいの感覚で受けている人が多い印象ですね。
ITエンジニア界隈は他業種と違って、自分の技術やスキルを無償で共有して全体で良くなろうという意識が強いのも一因のような気がします。
未経験からプログラミング副業で稼ぐは現実的ではない
ここまでで触れてきた通り、本業でITエンジニアをしていない未経験の人がプログラミング副業で稼ぐのは現実的ではない、というのが僕の見解です。
そもそも、お金を稼ぎたいのであれば本業とまったく異なることをいきなり副業としてやるのはかなりコスパが悪いと言わざるを得ません。
それであれば、まだ現職で関わっている仕事に関する知見をブログやYouTubeなどで発信する方が、稼げる可能性は圧倒的に高いと言えるでしょう。
現職の課題をうまく解決してその内容をブログで発信するメリットはたくさんあります。詳細を知りたい方はこちらの記事をご確認ください。
副業プログラミングは稼ぐ以外の目的ならアリ
未経験から副業プログラミングで稼ぐのはあまりおすすめしないのですが
- キャリアチェンジ
- 転職
- フリーランスのきっかけ
- スキルアップ
- 自分の視野を広げる
など、選択肢を広げていく方向で進めていくのなら良いでしょう。
副業のためにプログラミングを学ぶくらいであれば、本気でITエンジニアへの転職を考えてみてそこから選択肢を広げていくみたいな方が良いです。
本気で未経験からITエンジニアになるには、拙速ではなく中長期的な戦略が必要になってきます。
詳細をもっと詳しく知りたい方は、こちらの記事をチェックしてください。
まとめ|プログラミングで稼ぐなら副業以外の方法で
これまで、未経験からプログラミング副業で稼ぐのは厳しいこと、プログラミング副業の実態、なぜ副業が今話題なのかやそれを踏まえた対処法について解説しました。
結論としては、未経験からプログラミング副業で稼ぐのは難しいです。
その理由としては
- 「プログラミング」のみで成り立つ副業はほぼ存在しない
- 実務経験がある人にしか案件が来ない
などの理由が挙げられます。
実際にプログラミング副業の実態として
といった特徴があり、プログラミング未経験が稼ぐにはなかなか厳しいのが現状です。
副業として稼ぎたいのであれば未経験のプログラミングではなく、現職で関わっている仕事に関する知見をブログやYouTubeなどで発信する方が、稼げる可能性は圧倒的に高いと言えるでしょう。
現職での課題解決などをブログでまとめて発信するメリットや具体的な始め方について、もっと詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
また、その一方で、副業プログラミングを稼ぐ以外の目的で行うのであれば問題ないでしょう。
たとえば
- キャリアチェンジ
- 転職
- フリーランスのきっかけ
- スキルアップ
- 自分の視野を広げる
など、キャリアの選択肢を広げるためであれば積極的に進めていくのがおすすめです。
なるほど。稼ぐ以外の目的でプログラミング副業を始めるのは、いろいろとメリットが多そうだな・・
副業のためにプログラミングを学ぶならば、むしろ本気でITエンジニアへの転職やフリーランスになるという選択肢をイチオシします。
本気で未経験からITエンジニアになるためには、何も考えずに動くのではなく中長期的な戦略が必要です。
未経験からITエンジニアになるための中長期的な戦略について、もっと詳しく知りたい方はこちらの記事をご確認ください。